民家再生:つくばの家
受け継いできた民家を次の世代へ
所在地:茨城県つくば市
竣工年:2009年
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慶長18年から11代続く家柄である当家は大きな敷地を構えた農家が点在するのどかな里山の中にある。屋敷には今回再生する明治33年建築の母屋のほかに明治5年建築の土蔵、大正10年建築の長屋(現在物置)そして昭和55年建築の離れの住宅がある。
母 屋
間口7間、梁間5間半の規模。関東地方で典型的な田の字型の間取りであるが屋根裏の利用、西側に竈部屋を突出させるなど明治期の新しい要素が盛り込まれている。外観では軒に出し桁を南と西に回し、正面に式台付きの玄関を設けるなど格式を重んじたデザインとなっている。屋根材は新築当初から瓦葺きであったことが残された普請帳(建築の際の現金出納帳)から判断できる。土間はタイル床に改修されているが太い欅の大黒柱と同じく欅板を使った上がり縁が鍵の手に回る構成は当初のままである。
再生方針
代々受け継いできた民家を次の世代に引き渡し、100年以上持ちこたえることが出来る伝統工法による構造補強を目的に、家を一旦持ち上げ(揚家)、土台の交換、基礎補強、床下の横架材(足固め)を施す。
年月により老朽化した水廻りを別棟で合理的に集約させたり、建て主の持つ山から切り落とした自然乾燥の材木や現地の左官・瓦・曳家など伝統技術を持つ職人を積極的に投与しながら再生工事を行う。間取りについては過剰な間仕切りによる操作は避けて、構造体に過剰な加工を施さないよう気をつけながらこれからの生活を叶えられるような設計を心がける。